有機野菜の虫が混入する可能性と対処方法

有機野菜などを検討する際に、「虫がたくさん付いているのでは?」「寄生虫や卵の付着が心配」という方が多くいらしゃいます。
有機野菜の場合、虫を取り除く化学合成農薬を使用しないで生産するので、虫が付いてしまう可能性があります。
検品を強化していても『検品過程で発見できない、葉の中などへの虫の付着』などが起きることがございます。
「なぜ虫が付いてしまうのか」「虫が付いた場合の対処法」「もし虫が付いていた場合に心配なこと」についてお応えします。
有機野菜に虫が混入してしまうのはなぜ?
普通、野菜を生産するうえで虫を除去するために多くの農薬が必要です。「有機野菜」は農薬や化学肥料、除草剤などを一切使わない、使ったとしても(JASの認定を受けた農薬を使用)極力抑えて栽培されるので、容赦なく虫がやってきます。
ある意味、「有機野菜」に虫は付きものなのです。
「有機栽培」に関する詳しい説明は、「有機野菜・無農薬野菜が本当は危険?本当に体にも環境にも良い野菜とは」もご参照ください。
寄生虫が混入する可能性があるって本当?
有機栽培・有機農業は何といっても土作りが肝心です。味が濃く、おいしい野菜を有機栽培で作るためには、土の中に有機質の堆肥をたっぷり投入することが基本。
有機質の堆肥として、生ごみ処理の搾りかす、自家製の腐葉土の他に、市販の堆肥には牛糞、豚糞、鶏糞などがあります。
動物の糞は発酵したものを肥料に使うので、回虫などの寄生虫がわく心配はありません。
というのも、堆肥の発酵温度は60~70℃。このぐらいの高温になると寄生虫は死滅します。
有機野菜にギョウ中の卵は付いていない!?
「有機野菜にギョウ虫の卵が付いていないか?」「ギョウ虫の卵が付いている有機野菜を食べたら、ギョウ虫に感染するのでは?」と不安に思う人もいるようです。ギョウ虫は人から人に感染するものです。
昔のように堆肥に人糞を使っていた時代は、ギョウ虫の心配もありましたが、今は動物の糞を使って、発酵させたて堆肥に用いるので、心配は無用です。
むしろトイレに入った後、十分な手洗いをしないで食事をすることの方が、ギョウ虫の発生リスクになります。
情報参照元:ぎょう虫(蟯虫)症について 横浜市衛生研究所
葉物野菜と米は虫が付きやすい
葉物野菜は有機野菜だけでなく、化学肥料を使用した慣行栽培でも虫食いが起きることは珍しくありません。もし家庭菜園で野菜を作る場合は、防虫網で覆って虫よけを行う方法がおすすめです。
もしくは面倒でもこまめに害虫がいないかどうか見て、害虫がいた場合はティッシュを使うか、薄手のゴム手袋をはめた手で捕まえて除去します。
それでも農薬を使わずに虫よけをするには限界があると思われます。その場合は「ストチュー」と呼ばれる、手作りの自然農薬が虫よけに効果的です。
「ストチュー」は読んで字のごとく、酢と焼酎を混ぜた物。にんにくとタバスコ(唐辛子も可)も加えると防虫効果がアップします。
ストチューを作ったら、100~400倍程度の水で薄め、栽培中の野菜にスプレーして害虫を防ぎます。
※「ストチュー」の作り方
<材料>
焼酎 150ml
酢 150ml
木酢液 150ml
にんにく 1球
ペッパーソース 10ml(唐辛子で代用するのも可)
唐辛子を使う場合は、2、3本用意して、細かく砕いてからティーパック用の袋に入れて、ストチューの原液に10日以上つけておく。唐辛子の赤い色が原液に溶け出したものを防虫剤として使ってください。
虫が付きやすい野菜の対処方法
有機野菜は基本的に農薬や化学肥料を使わずに作られるため、虫が付きやすいともいえます。中でもキャベツ、白菜、小松菜をはじめとした葉物野菜は虫が付きやすく、虫食いが見られることも。
有機野菜を入手したら「虫がいるか」「虫食いはないか」といった確認作業が必要です。
葉物野菜は水に浸けてから洗う
葉物野菜は水を入れたボウルの中に約30分浸け置きしてから、振り洗いをします。水に浸けることによって、根付きの葉物野菜は泥も落とすことができます。ちなみに白菜やレタスなど球状に葉が巻かれている野菜は、葉を開いて虫がいないかどうか確認した後、食べる分だけ1枚ずつ葉をはがしてから水に浸けて洗いましょう。
また、水をボウルに入れた後、重曹を小さじ1、2杯加えて洗うと洗浄力がアップします。
重曹によって、葉と葉の間に潜んでいる虫も取りやすくなります。洗った後はペーパータオルなどで、しっかり水分を拭き取ります。
50℃のお湯を使って葉物野菜を短時間で洗う
野菜に付いた虫はお湯で洗うのも効果的です。お湯の温度は50℃が適温。50℃のお湯をボウルに入れ、その中に野菜を浸けて短時間で洗います。
この方法は虫の駆除以外の効果も期待できます。
50℃のお湯によって野菜に含まれる酵素も活性化されるので、葉がシャキッとして元気になり、味もおいしくなるといわれています。
50℃以上の温度で洗うと、ビタミンが流出する可能性もあるので注意が必要です。
情報参照元:野菜の50度洗いの方法と注意点! 農薬工業会
米の対処方法
有機栽培の米も農薬や化学肥料を使わずに生産されるため、虫が付いていることがあります。万が一、米に付いた虫を食べてしまったとしても、健康に害を及ぼすような危険性はありません。
購入したら袋のまま保存するのではなく、一度袋を開けて虫がいないかどうか確認を。虫がいたら取り除いてください。
精米後の米はどんなものでも品質の劣化が進むので、保存容器に米を入れた後は、風通しのよい場所で保存し、早めに食べ切るようにしましょう。
米粒の一部が黒変している原因と対処方法
米の中に時折、米粒の一部が黒変している物もあります。これは稲穂に虫が付いた跡にできるもので、農薬を極力使わずに栽培すると、こうした黒変米が混入する可能性があります。
黒変米は食べても健康上、問題はないのですが、気になる場合は取り除いてください。
緑色の米粒の原因と対処方法
稲を刈り遅れないようにするには、緑色の米粒が5%程度入る時期に刈り取ります。稲穂は先端から実っていくので、根元から先端まで熟し切れていない場合があります。緑色の米粒が混入しているのは、適切な刈り取りの時期に収穫された米である証拠。おいしいごはんの素になる米ですから、安心して召し上がってください。
より多くの安全と新鮮な食品をお届けできるよう、常に取り組んでいます
「オーガニック」と呼ばれる食品も「有機栽培」で作られた物です。オーガニックブーム以降、健康志向の高まりで有機栽培の野菜が人気です。
「有機栽培」は栽培期間中農薬や化学肥料を使用しない、または使用を最低限にしているため、野菜の一部にひび割れしている物や浅く虫に食べられた跡がある物もあります。
それは自然本来の姿。「有機栽培による安全な野菜だからこそ」とも言えます。